焼かれ、奪われ、気まぐれに弄ばれ、その光景は地獄でさえまだ子ども騙しのように見えた。
目的が何であったか知る者はいない。
だが‏、‎代々受け継がれ、王国の象徴であった秘宝ダイアモンドロッドが奪われた時、民は今までの日々が戻らないことを悟った。
そして、去り際に立ちはだかった巫女は戯れに魔導師に連れ去られ、棲まう塔に幽閉された。

人々は絶望を知った。
自身の境遇を呪った。
言葉は彩りを失った。

人々は知らなかった、遠征から戻り、惨状を目の当たりにした王子が大いなる成長を遂げていたことを。
魔導師は知らなかった、気まぐれで攫った巫女の天運を。
王子は知っていた、悪を滅するその術を。

いま浮沈の悪魔の塔に挑む一人の影があった。

■利用素材
以下のみなさまから素材をお借りました。
こ‏の‎場を借りてお礼申し上げま‏す‎。

PANICPUMPKIN 様
ユーフルカ 様